経営戦略を立案することとは経営者の意識改革と同義

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経営戦略で採用される手法は様々です。

財務諸表で数字を確認することも、サービスを洗練させることも、外部企業とのアライアンスを強化することも経営戦略でしょう。

弊社では経営者の思考癖を変革することが経営戦略を大きく左右すると考えています。

当記事では経営戦略とは何を指すのか、また、経営者の思考癖とは何かなどについて触れていきます。

1 経営戦略はどのように定義されるか

「経営戦略」とは経営目的や経営目標を達成するための方針や計画全般を意味する言葉。

中小企業であっても大企業であっても、保有する経営資源には限りがあります。企業が掲げる目標や目的に対して適切に対応できるよう、リソースを選択し分配していく必要があります。

そうした企業活動の基軸となる指針や指標、また方策を実現するための体制づくりなども「経営戦略」に含まれます。

2 経営戦略の目的と必要性

企業には当然ながら、強みや弱み、特性があります。

経営者はそれらを理解、把握した上で、組織改革や事業の方向性を決定していく必要があるでしょう。

それらに対し「どのような優先順位を付けて実行していくか」「自社のどのような強みを磨くべきか?」「何を行い、何を行わないか?」を明確化するのも経営戦略を策定する目的でもあります。

企業としての方向性をはっきりと示すことで、企業活動を支えてくれている社外関係者の共感や理解を得られる可能性も高まります。

限りある資源を適切に配分すること、企業活動を支える社内外の関係者からの共感や理解を得ることが経営戦略を策定する意義と言ってもいいでしょう。

3 社長の思考癖が企業の成長を決定する

MVV(ミッション・ヴィジョン・バリュー)を経営の根幹とする企業は多くありますが、昨今ではMVV経営<purpose経営の文脈が強まってきています。

※purpose(パーパス)経営とは、企業の経営理念として自社の存在意義を明確にしてどのように貢献していくのかという「パーパス」を掲げること。パーパスは「目的・意図・意思」などの意味をもち、そこから「存在意義」や「志」などの考え方に広がっている。

特にスモールビジネスにおいては社長の思考癖が経営戦略の大部分を占めており、その思考癖に合わせて戦略が派生してきます。そのため「何をやっているか」より「どう考えているか」が経営の結果に影響してくることが多いのです。

例えばリスクが取れない、発注ができない(外注にお金を使えない)、雇用ができないなどお金を払ってGIVEすることができないマインドを保有していたり。

もしくは情報発信が苦手な場合は発信をどのようにしていくのか、情報発信に力を入れている間に事業をどのように保たせるのかが議論のポイントになるでしょう。

もう一つ例を挙げると営業の軸が持てず、マッチング、交流会などに積極的に顔を出すものの実態がよくわからない人脈だけ保有してしまっていたりことも少なくありません。

経営者の思考はそのまま企業の成長に直結するため「経営戦略の立案」すなわち「経営者のマインド変革」であるとも言えます。

4 経営者の意識(マインド)を変え、いかに浸透させるか

経営者がいかに魅力的なパーパスを掲げていたとしてもそれが組織に浸透しなければ意味がありません。

パーパスをどう活用するか、いかに浸透させるかは経営戦略において非常に大きな意味を持ちます。

そのためにはまず経営者が自身の思考癖を理解することが大切。

例えば「いつかやろう」「後でいいや」などの先延ばしの思考癖がある場合、その経営者や組織はチャレンジしなくっていくでしょう。

もしくは資金調達にアレルギーがあり、とにかく無借金経営を貫くという思考癖がある場合、事業をなかなか伸ばせなくなっていくかもしれません。

まずは経営者の思考癖や現状を分析し、より良い考え方が可能となるよう戦略に落とし込みます。「成長するにはこれではダメなんだ」という感情が芽生えた後、現場へどのように伝えていくのか、浸透させるのかを設計します。

この段階でようやく成長戦略の輪郭が明確になってくるのです。

企業を成長させるためにはまず経営者のマインドを変革することが最優先ですが、当然ながら意識改革には勇気が必要です。

5 経営者としての特性や経営状態を診断し、思考癖を可視化するための31項目

経営者の思考癖は、大きく下記の5つに分類されると考えています。

  1. 情報発信するのが苦手
  2. 人の目を気にする
  3. 数字を追えない
  4. 営業が苦手
  5. 人の上に立つのが苦手


弊社では自身の特性をより理解するための手助けとなるよう、経営者のよくある課題や傾向を病に見立てて31種類に分類できるサービスを提供しています。

【経営者の病診断はこちら】

31種類の分類とその対処法について取りまとめましたので参考にしてみてください。

もしかすると身に覚えのある項目があるかもしれません。

※それぞれの症状はあくまで病に見立てているだけですので、実際に存在するわけではない点をご了承ください。


  1. 法人癒着…自分の夢を全て法人に乗せてしまう病。個人と法人が意識的に癒着状態になる。何でも詰め込んで余計なことをやって経営効率を下げるのが特徴。
    ・対応策:MVVの再定義

  2. 補助金依存症…補助金がないと投資出来なくなる病。不正受給が当たり前になり、支出は全て補助金で補おうとする。採択待ちになり投資判断が遅れる為、経営スピードは遅く再建され辛い。
    ・対応策:経営者の意識改革

  3. 先代コンプレックス…先代経営者に対しての劣等感を抱きリーダーシップが発揮出来ない病。別名決められない病。
    ・対応策:アサーティブリーダーシップ

  4. 借入鬱…キャッシュ・フローが悪いのに借入しない。先を見て借入が不安になる。事業計画が曖昧でどうしたらいいか分からない状態になっている。
    対応策:事業戦略策定

  5. 業務依頼不全…なんでも自分でやろうとする病気。仕事を振りたいのに振れない。重症化すると振れない理由は部下にあると思い込む。長引くと組織の成長が止まる原因になる。
    ・対応策:COOの設置、長期離脱など

  6. ITアレルギー…DXに取り組もうと前向きになるが、導入フェーズになると抵抗を感じてしまう。対面や紙の良さを重んじるが故に改革が進まない。
    ・対応策:経営者のDX仕事術、コロナ禍でのサービス再設計

  7. 損益分岐点盲目症…損益分岐点が見えない病気。月次の管理すらしていないことが大半。重症化している患者の特徴として、数字を作る感覚がゼロ。
    ・対応策:KPIの設定、月次粗利主義など

  8. 決算アルツハイマー…数字を聞いても答えられない。決算書類がないと概算が言えないなど、数字感覚を失い、経営マネジメントが出来ていない病。損益分岐点盲目症も併発していることが大半。
    ・対応策:経営戦略立案、目標管理、KPI設定、財務戦略など

  9. 夢物語肥大症…最新情報を集め、自分ノートで独自の経営ロジックを描くのがライフワーク。現場の課題と解離した夢物語ばかりで社員からの信頼を失う。
    ・対応策:業務改善・定期コンサルなど

  10. 甲斐性…社員を雇うことに酔いしれる病。別名「お山の大将」。10〜25名の社員数の会社に多い。殆どが男性経営者である。重症化すると倒産原因になる。
    ・対応策:ティール組織論、経営戦略、生産性向上計画など

  11. 新規事業散漫症…次から次へと新規事業を展開し、一つ一つに集中出来ない病。夢物語肥大症との合併症で重症化。法人癒着を起こしていて私物化されているが、無自覚なことが多い。
    ・対応策:分社化、MVV再定義、サービス設計、モデリングなど

  12. 化膿性事業炎…不採算事業の見切りが出来ない状況。見切りが甘いとズルズルと炎症が広がる。しかしながら、なぜか逆に手を広げる経営者が多い病。
    ・対応策:事業撤退、事業売却など

  13. 情報発信不全…SNSなどで情報発信出来ない病。発信したいとは思うものの周囲の目が気になって前向きに出来ない。重症化すると情報発信弱者になってしまう。
    ・対応策:コンテンツマップ作成、Live配信など

  14. 夢遊病…とにかくフラフラと外出する病。目的の曖昧な情報交換や出張を繰り返す。重症化すると、お参りや禊、滝行、高額ビジネススクールなどを梯子する。起業直後の経営者に多い
    ・対応策:事業戦略、KPI設定

  15. 営業障害…仕事がないのに机でずっとPCを開いてなにかやっている状態。とにかく外に出ない。人に会わない。研究職出身のスタートアップ経営者に多い。
    ・対応策:営業系KPIの設定、アジャイル経営など

  16. スタートアップ症候群…ピッチイベントやビジネスコンテストばかりに命をかける。意識高い系男子が多い。事業=WEBサービスだと思っている。スタバ大好き。VC頼みで事業が長続きしない傾向。
    ・対応策:経営戦略、財務戦略、融資

  17. 接待交際中毒…経費での夜の飲み屋通いを止められない病気。重症化すると社員を連れていったり、客なしで通う。
    対応策:事業売却、所有と運営の分離など

  18. マッチング熱…ビジネスモデルが確立できず、マッチングだけでやり過ごそうとする病。「何か一緒にやりたいんだよね」が口癖。夢遊病と併発することが多い。営業マン出身者に多い。
    ・対応策:事業戦略策定、サービス設計など

  19. MVV失調症…「何のために経営しているのか」良く分からない病。経営することが目的になっている状態。「社長になりたい人」が陥り易く、パワハラ気味。成長フェーズで社員が離脱しやすい。
    ・対応策:MVV再設定、プロボノなど

  20. 配偶者恐怖症…自分の判断で事業投資が出来ない病。起業時点で配偶者に安定収入を約束してしまったことに起因する。経営判断が遅く、事業の成長が滞る。
    ・対応策:ファイナンス思考

  21. 足軽病…人の上に立てない病。頭では分かっていても経営者のマインドが持てない。表面的な優しさはあるものの、器の小ささが露呈。人がついてこない。
    ・対応策:帝王学、甲斐性など

  22. 自己愛性発注障害…自己の状況を省み過ぎて、なかなか発注できない病。経営判断が慎重過ぎるゆえにスピードが鈍化。自分のことしか考えていないので人が周りが着いてこない”裸の王様”が多い。
    ・対応策:財務シュミレーション、中期経営計画など

  23. 妄想性マネジメント障害…新しい情報に飛びつき、非現実的な方向転換を周りに押し付ける。自分が混乱している割には完璧な計画を周囲に求める。常に思いつきなので発言を忘れる傾向。社員からの信頼を失う。
    ・対応策:COOの設置、マネジメントの分離など

  24. 憑依性事業戦略不全…やりたいことにこだわり過ぎて収益が上げられない病。まるで何かに憑依されているかのように周囲がアドバイスしても聞き入れない。損益分岐点盲目症や営業障害を併発していることが多い。
    対応策:経営戦略策定など

  25. 音符病…意思決定は早いが実行が伴わない病。別名「やるやる詐欺」。特に社内の整備にリソースを割かない傾向。メッセージの語尾に♪が着き始めたら要注意。
    ・対応策:選択と集中、分社化など

  26. 法人格解離…自分ごととして会社を捉えることが出来ない病。法人癒着の反対。サラリーマン社長に多い。借入鬱を併発しているケースが大半。役員報酬カットを毛嫌いする。
    ・対応策:コロナ融資など

  27. 慢性ビジネスモデル不全…ビジネスの仕組みが不完全な状態で経営し続ける病。収益の勘所が分からないまま闇雲に時間とお金を浪費する。成功者の背中を見過ぎて「いつか自分も」とベンチャー気取り。
    ・対応策:サービス設計、事業再構築など

  28. 補助金アレルギー…補助金・助成金を利用できない病。利用するのは恥ずかしいと周囲には言っている。脱税の疑いがあることが多い。補助金依存症の逆。
    ・対応策:補助金診断、重加算税など

  29. 独裁制パーソナリティ障害…全て自分の思った通りに回す。創業社長に多い。常に接待交際中毒を併発。社内の女性に手を出す傾向。パワハラは当たり前。
    ・対応策:事業売却、MBOなど

  30. 妄想性AI導入障害…AIを入れたがる病。まさに手段の目的化。自己満足のために部下に丸投げする横暴な側面を併せ持つ。AIに関して正確な知識を持っていない。ITアレルギー鎮静化直後に発症するケースが多い。
    ・対応策:PoC、経営者向けIT勉強会など

  31. 売上ハラスメント…売上にこだわり過ぎて顧客満足度や従業員満足度を落とす病。売上の大きさ=人間の価値。重症化すると、納品していないのに請求書を発行するなどが現場で横行し、トラブルが多発。
    ・対応策:MVV再設定、ピッチイベントへの参加など

まとめ

経営戦略を立案する際は財務などの数字やサービス内容も大切ですが、経営者の思考が極めて重要です。

今後会社をどのように伸ばすべきなのか、どのような戦略を選択するべきなのか悩んだら、まずは自らの思考癖を洗い出すところからスタートしてみましょう。

思考癖やそれに対する対策を立案した後、現場へいかに浸透させるかを考えていきます。経営戦略は経営者の意識改革であることを念頭に、より良い戦略を考えていきましょう。